男の子問題
私は、昨日号に「目撃!」といった形で、昔の子どもたちの生活ぶりを書きましたが、所詮は、私の狭い経験に基づくものであるということは否めない、と反省しています。今から思うと、男の子であった私は、当時はよく「男は度胸、女は愛嬌」や「男らしく、女らしく」という言葉を聞かされて育ちました。
今、男の子は“漂流”している?
理想の人間像としての典型的なモデルは、桃太郎さんや金太郎さんでした。「気は優しくて力持ち」という分かりやすいスローガン(?)が力を持っている(今から思えば・・・)時代に育てらました。
最近、青年や少年、男の子をめぐって心配なことが頻発しています。
死刑になりたいから誰でもいいからとの無差別殺傷事件、光市の母子殺害事件、生き方をなじられて妹を殺害した事件、父親への反抗のために我が家を放火して母親や弟妹を巻き添え死させた事件・・・いずれも、青年や少年の起こした事件です。
またそこまで行かなくても、自分自身の生き方に悩んでいる、または、人としての自立や意欲や人間関係の構築といった、生きていく上での基本的なことで、生き方を見失っている若者も少なくないと、私も実感していますし、多くのメディアも報じています。
身近に、情報化社会の進行や地域社会の崩壊や激変のなかで、昔のように身近に生き方のモデルとなるような大人の存在も見つけにくく、自力で社会に立ち向かうには、ノウハウも自信もない、それでいて、男の子としての役割を期待される。だが、その割には、経済的自立を保障されるような仕事にもチャンスにも恵まれず、不安定な雇用環境の中にある。
少し前まであった、気は優しくて力持ちといった「桃太郎」や「金太郎」への憧憬は、今はほとんで語られず、筋骨隆々・逞しいといった類の男の子や青年を称揚表現する言葉も死語になりつつあります。無骨より可愛さ、マッチョよりもなで肩が称揚されています。
そういった中で、青年や男の子たちは“漂流”しているといった「男の子問題」・・・この言葉自体はまだまだ社会的に知名度は低いようですが・・・これは日本だけの状況ではなく、白梅学園大学の汐見稔幸教授によれば、先進諸国に共通する課題であり、傾向であるということですが、この「男の子問題」を考えていきましょう、ということで、きょうの号は、次の本とアドレスをご紹介します。
「男の子の育て方」
別冊PHP(2008年3月増刊号) 定価460円
http://baby.goo.ne.jp/member/comomama/shitsuke/01/index.html
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